HBR(8月号)「営業のモチベーション」にあるHubSpotの話がおもしろい

意識が低く、地をはってテイクオフする気配がありません。

「コレ読めば意識が高くなるのか」と願いを込めて、ハーバードビジネスレビュー8月号「営業のモチベーション」を読んでいます。

ここにあるHubSpotの人の話が面白かったので、意識が低いなりに紹介してみます。

報酬精度は事業の成長に応じて変える (HubSpot)

顧客に見つけてもらうという『インバウンドマーケティング』で有名なHubSpot。同社といえばマーケティングが有名ですが、今回はセールスの話です。

ざっくり言うと、「企業の成長段階によって戦略を変えることが必要。それに合わせて営業の成果報酬も変える必要がある」というお話です。

話しているマーク・ロバージ氏は、HubSpot4番目の社員で、現在は最高売上責任者です。ロバージ氏は、HubSpotが辿った3つの段階に分けて、営業の成果報酬について話をします。

顧客「開拓」フェーズ

一番はじめはスタートアップ。とにかく顧客を「開拓」する必要があるフェーズ。

ここはとにかく顧客を集める事が至上命題です。このため最初のHubSpotは、顧客の月額料金1ドルに対して、営業へ2ドルの歩合を支払います。

これ、1ヶ月で解約されるとHubSpotは赤字になりますね。

そのためHubSpotは、顧客が4ヶ月以内に解約すると、その報酬は没収されるという制限をつけていたそうです。

初めはこれで上手くワークします。 (ワークって言葉、意識高くないですか?)

解約率を下げるフェズ

開拓が成功したHubSpotは次の課題に直面します。

高い解約率です。

そこで同社は解約率が高い原因を探します。はじめは「ポストセールスが原因ではないか?」という仮説をたてます。「プロフェッショナルなポストセールスとそれ以外で解約率に大きな差があるのではないか?」と。

結果は違いました。ポストセールスによって解約率に差はなかったのです。

差があったのは営業でした。営業の担当別に解約率を見てみると…… なんと、解約率の格差は10倍にも達していたのです。

高い解約率の原因は、営業毎に異なる顧客との期待値調整という訳だったのです。

これを受けてHubSpotは、解約率をベースに営業を4つのグループに分けます。そして、以下の通り報酬を変更しました。

  • 1番目は、月額1ドルにつき『4ドル』の報酬 (倍)
  • 2番目は、月額1ドルにつき『3ドル』の報酬 (1.5倍)
  • 3番目は、月額1ドルにつき『2ドル』の報酬 (現状まま)
  • 4番目は、月額1ドルにつき『1ドル』の報酬 (半分!!)

これが大当たりして、6ヶ月以内に解約率が70%低下します。

月払いではなく年払いを増やす

最後のフェーズは、顧客がHubSpotの製品をより活用している「年払い」の顧客を増やすというモノ。

この辺りは実際に本誌を手にとって確認してください :)

成果報酬を変更するときに必要なモノ

マーク・ロバージ氏は、営業の成果報酬を変更する時には3つのことを注意すべきだと指摘しまう。

  • シンプル
  • 整合性がとれている
  • 即時性がある

の3つです。

くわえて、果報酬は重要であるがひとつの要素に過ぎず、「採用」「トレーニング」「コーチング」なども同時に行う必要性を説いています。

所感

この記事を読んで、個人的に一番興味深かったのは、「解約率と営業」のくだりです。

SaaS業界にいると製品を顧客に届けるまでの間で「ポストセールス(インプリ)」が占める比率の高さが身にしみています。だからこそ、HubSpotも初めは解約率と関係があるものの仮説でインプリを調べたのだと想像します。しかし、実はそれよりも営業だったと。

「最初に顧客との期待値調整が非常に重要である」という事がここからは見て取れます。いやー、コレを肴に美味しいお酒が飲めますね。

ただ、注意したいのは「あくまでHubSpotの事例である」ということです。同社から本当に見習うべきは、『勘や直感ではなくデータにもとづき判断をして計測する』ということですよね。

課題を定義して、データを調べて、改善を実施する。そうやって改善サイクルを回していく。

この記事を読んでいると「制度の話」というよりも「製品の話」のように感じられます。これはマーク・ロバージ氏が「エンジニア出身でありHubSpot以前は営業経験がなかった」というのが影響しているのかも知れませんね。

キレイ事を言った後には現実的な感想。はい、歩合です。

標準は月額1ドルにつき2ドルの歩合…… 日本円で想像してみましょう。

HubSpotの平均月額料金は8万円くらいでしょうか? そう考えると、営業は1アカウント売るたびに16万円の歩合を手に入れる事が出来ます。月額積み上げ商売のSaaSというビジネスモデルとはいえ、これは太っ腹な歩合……

そして、この歩合の変更を断行するのは豪腕ですよね。これには「HubSpot自体の製品力が強く“売りやすい”」という事も関係していそうです。

全体を通して感じるのですが、社員というよりもパートナーに対する話みたいです。よく知らないのですが、海外企業の営業ってこんなものなのでしょうか。


積んどくで本棚の肥やしである「ハーバードビジネスレビュー」も読んでみるとおもしろいですね。過去分も含めて読んでみようかしら。

ちなみに誤読している可能性は大いにあるので、詳しくはHBR本誌で確認してくださいね :)

ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2015年 08 月号 [雑誌]

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