SaaSのプリセールスについて個人的なまとめ

 今年、諸々の理由で齧ったけれども、きっともう一生キチンと取り組むことは無いであろう「SaaSのプリセールス」について個人的に思うことをまとめます。

 今年プリセールス(的な事)に取り組むにあたり色々と調べようとしたのですが…… プリセールスにまつわる情報って驚くほど世の中に無い(求人ばっかり引っかかる)という苦労をしました。ですので、もし同じようにSaaSソフトウェアでプリセールスという課題に取り組む人がいれば参考になれば幸いです。なお、私は本職のプリセールスではないので「オレオレ内容」です。ソースは俺という完全に個人の主観ってやつです。あしからずご了承ください。

そもそもプリセールスってなんだ

 冒頭からプリセールスという単語を無分別に使いましたが、そもそも「プリセールス」ってなんだ?という定義が問題です。

 私の勝手な定義では、プリセールスとは「専門知識面に特化した営業活動を行う人」としています。

 ソフトウェア・サービスを高単価で販売しようとすると、考えなければならないことが増えて専門的になります。例えばメール配信サービスがあったとして、毎回CSVアップロードしてメール配信するだけならきっとプリセールスは必要ないでしょう。というかそんなのしてたらコスト合わない。

 しかし、そのメール配信サービスを「顧客企業の基幹システムと連携する必要がある」という場合はどうでしょうか? こうなると、その販売しているメール配信サービスだけでなく、「基幹システムとはどのように繋げるのか?」「中間サーバーはどうするのか?」「セキュリティをどこまでどうやって担保するのか?」等など、問題が多角化、深化します。対応する顧客側においても、利用する事業部門に加えて、情報システム部門や法務部門など専門部門がカウンターとなります。

 こうなってくると、営業の人だけでは対応するのが難しくなって来ますので、専門知識を使った営業活動をするプリセールスが必要になってきます。

プリセールスは営業活動です

 ココで気をつけたいのは、プリセールスはあくまでも「営業活動」であるという事です。決して要件を絞る人ではありません。

 プリセールスは、専門知識があるためリスクポイントがよく見えます。しかし、リスクを避けようとするあまり、スコープを小さくして受注金額が小さくなるとか、顧客の不安を煽って結果的に失注するとか…… 誰も幸せになりません。

 いや、何も「プリセールスはリスクを隠せ!」とか、「リスクを無視して『大丈夫です!なんでも出来ます!!』って営業と一緒に言いましょう」というような事ではなく、リスクポイントをキチンと整理して、顧客に丁寧に説明して(場合によっては回避するための追加費用を頂き;))、当初達成したかった顧客の課題解決を実現できる手段を営業しましょうという事です。

 もし、無謀な営業の暴走をとめるためのストッパーとか、そんな目線でプリセールスが必要とされているのなら、それはプリセールスで解決すべき課題ではなく、組織の闇が課題なので、そんな課題を与えられたプリセールスが疲弊することは請け合いです。そんな役目をやらされそうになったらその船からは逃げ出しましょう :(

指標をどうするのか

 プリセールスで悩ましいのがどういう指標で見るのか?という問題です。営業と同じように受注率・受注金額を指標にするのか? プリセールスはセールスサポートなのでセールスにアンケートをとってそれを指標とするのか? いやいやプリセールスは活動ボリュームで工数管理するだけでいい? などなど議論は尽きません。

 組織によって正解は異なるのでしょうが、個人的に出した結論は「受注単価」です。

 受注率・商談期間は、変動要素・プリセールスがコントロールできない要素が強すぎます。かと言って、営業に「プリセールスがいてよかったですか?」なんてアンケートを聞くと、プリセールスが顧客ではなく営業を向いてしまうことになりかねません。KPI恐い。

 受注単価であれば、プリセールスの専門知識を使った提案で単価があがるという真っ当なストーリーになりますし、実際単価は余程の事がない限り上がります。KPIの魔力も「無駄にリスクを避けること無く深い提案をする」という方向に働きます。何より一番のメリットは、営業と利害が一致する事により同じ目線になるという事ですね。

顧客とのコミュニケーション

 次に顧客との関係を考えてみます。

 理想的には、専門的なことだけをプリセールスと顧客が直接コミュニケーションして、それ以外は全て営業がコミュニケーションを取るというのが望ましいと思います。人間は見たいことしか見ない傾向があるので、アカウント営業が顧客をグリップする事の重要さ・難しさをプリセールスが軽んじて、なんでも自分でやろうとするとロクな事になりません :(

 ま、この当たりは何を指標とするのか?というのと連動する問題なので一概には言えませんが。

 ちなみに顧客から「誰に何を話して良いのか分からない」という言葉が上がってくる場合は、営業とプリセールスの役割分担が上手く言っていないのではなく、どちらかのレベルが非常に低いという事も疑う必要があります。営業とプリセールスをどう組み合わせてもそういう声があがる場合は「仕組みの問題」ですが、特定の人の場合だけその声があがる場合は「人の問題」です。

営業とプリセールスの情報種別と課題

 上の方で営業とプリセールスは共通の目線を持ちましょうなんてサラッと書きましたが、現実にはプリセールスで発生する課題の大部分は営業との関係に起因します。

 ぶっちゃけて言えば、多くの営業がプリセールスに望む領域と、プリセールスが案件獲得に貢献できる領域は微妙にずれます。

 多くの営業がプリセールスに望む事は、製品の知識を使って考えないと解決しない問題のサポートです。ざっくり言えば「僕が考えたいい感じの絵」の実現をサポートしてくれる事です。

 顧客の業務システムと販売する製品が連携するという絵を実現するために、「いまさら大幅改修が現実的ではない顧客企業のレガシーシステムから情報をファイルだけ出力してもらって、それをゴニョゴニョするシステムをセキュリティを考慮しながらこのような構成で作って、それを我が社の製品と連携すれば顧客の課題はこうやって解決出来ます。」的な。

 ※ 営業の望む事が「プリセールスは面倒な事を全部やって欲しい」とかなっている場合は採用の問題ですから…… ここではスルーしまっす。


 ただ、プリセールスは上記だけではなく、業務課題、いわゆる「絵そのもの」でも貢献できる・するべきだと思っています。

 プリセールスが製品の事を深く理解する過程には業務知識も必然的に蓄積されます。会計製品であれば経理部門の業務知識が蓄積されるでしょうし、SFAであれば営業部門の業務知識が蓄積されるでしょうから、それを使わないの事は資産をゴミ箱に捨てている事と同義です。

 ただ、営業側からメインで望まれる事ではない場合が多いのも事実です。

 図にしてみるとこんな感じです。

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 図にしても何の解決にもならないし、中に埋めているテキストが適当でスイマセン。要は、問題をキチンと腑分けする必要があるという事が伝われば幸いです。

 プリセールスの業務は、「ソリューション営業」という形の人たちとはカニバる部分が多く出てくるのは事実です。

 ※ なぜかスゴイ営業の人ほど、顧客課題を真摯にプリセールスと一緒に考えようとしてカニバりが問題にならない傾向があったり、逆もしかりだったりしますが、ここでは本旨ではないのでスルーっす。

 業態によっては、受注した後のSE・ディレクター業務ともカニバったり、場合によってはコンサルティングともカニバるかもしれません。

 まあ、仕事で他部署とカニバらないなんて、どんな職種でも業務は殆ど無いでしょうし、そんな壁を乗り越えるだけの価値がプリセールスという職種にはあるのも事実です。ですので、大事な割に情報がクソ少ないプリセールスという職種のためにこんな個人の感想を垂れ流している次第です。


 多くの製品がプリセールスの人たちの手によって、正しく顧客に価値が伝わる事を願ってやみません †o(・・;) アーメン