CRMとDMPの連携、オーディエンス拡張、そしてプライバシーについて少しだけ考えてみる

 最近になってポツポツと見聞きするようになってきたCRMデータを使ったオーディエンス拡張。成功結果までは正直聞かないけれど……興味深いこれについて考えてみます。

 オーディエンス拡張というと、LPを経てフォームコンバージョンしたユーザーを拡張して広告配信というような形が一般的かと思います。

 でもここでみんな考えるんですよね。「拡張するセグメントがフォームコンバージョンでいいのか?」って。

 多くの企業では既にCRMシステムは配備されていて、そこに既存顧客や商談の情報が保存されています。となると「どうせなら受注した人をベースにオーディエンス拡張したい?」と思うは自然の流れです。今までは思いついたとしても技術的に難しかったものが、技術の進歩で実現できるようになってきたので「試しにやってみるか?」というノリではできる環境が整いつつあります。

 イメージとしてはこんな感じですね。(スゴイざっくり)

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 ユーザーが自社Webにアクセスした時にCRMのID(ファーストパーティ)、オーディエンスID(サードパーティ)がそれぞれcookieに保存されます。このあたりの情報を利用してCRMとDMPを連携する事により、CRMのIDとオーディエンスIDを紐付けます。つまりCRMのバイネームの情報とDMPのオーディエンスの情報が紐づくわけです。

 こうすると、

  1. CRM側で「受注金額」「商談ステータス」等のCRM情報をもとにターゲット抽出
  2. 抽出したターゲット情報をDMPに連携
  3. DMPでオーディエンス拡張
  4. 拡張されたオーディエンスに対して広告配信

 というようなオペレーションを組むことが可能になります。うん、理論としては美しいですよね。

  • CRMとザクっと括っていますが、実際はマーケティングシステムやSFAなどが複雑に絡み合っていくのが実情ですが、分かりやすいようにCRMとして括っています。バイネームシステム群という事です。
  • DMPから広告配信の間にはDSPやSSP、アドネットワーク等ありますが、本旨では無いのでザクッとはしょっています。

 正直、理論の正しさが先行して実証結果はマダマダこれからというのが実際でしょう。ただ、今のうちからきちんと議論を煮詰めていかないといけない事があるのではないかと危惧します。

 プライバシーです。

 CRMとDMPを連携する時の一番の懸念はプライバシーですね。どう捉えるかは各企業によって見解が別れるところだと思います。現状では、各企業が法務部門ときちんと連携しながら実施すべきことは確かです。また、個人保護法改正を見据えてというだけでなく、倫理的に考えてどうなのかなども踏まえてきちんと意思決定の必要があります。

 あくまで個人的な見解ですが、懸念すべき事項はCRMからDMPへの連携よりも、DMPからCRMへ情報を持っていく所だと思っています。DMPで加工した属性(興味範囲とか)ならともかく、閲覧したページ履歴などは技術的には可能でもCRM情報と「紐付けるべきではない」と思います。個人と紐付けるオプトインとっていないですよね。

 この辺りは、まだきちんと法令を調べれていない状態ですが、個人の感覚としてこう思っています。


 ただ、CRMと広告の連携には価値を見出してもいます。情報・思想・組織的にサイロになりすい広告というが企業のなかで変革される端緒としてCRM・DMP連携が活躍できる可能性は大いにあると思います。

 サイロの打ち砕くには、人の思いが一番大事だとは思いますが、情報が流れていないと人の思いは淀みますからね :(