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みんなの翻訳は案外正しい―Duolingoが素敵 :)

 継続的な英語学習が出来ていないくせに色々とアプリを落としてしまう今日このごろです。いや、今日このごろではなくずっとそうか……

 いつも三日坊主で終わる英語学習ですが「こんな自分でも継続学習できるアプリがあるのではないか?」という淡い期待を抱きながら、2013年のApple社が選ぶ「年間ベストアプリ賞」にも選ばれた「Duolingo」をダウンロードして使っています。

 この「Duolingo」ですが、調べていくと非常に素晴らしいサービスでびっくりしました。

天才―ルイス・フォン・アン

 Duolingo自体の素晴らしさ前に、開発した人の説明を。開発したのは『ルイス・フォン・アン』というグアテマラ生まれの起業家(カーネギーメロン大学計算機科学部所属の准教授)です。

 実はこの人、インターネットでよく見かける「ウネウネした文字を入力しないと前に進めない」CAPTCHAを開発をした人です。これだけでもスゴイのに、この人はこのCAPTCHAの仕組みを利用して「reCAPCHA」を発明しています。

reCAPTCHA reCAPTCHAってこんなんです。使ったことありますよね?

 reCAPCHAはユーザーの見た目にはCAPCHAと同じです。ウネウネした文字を入力しないと先に進めない。スゴイのはこの表示される文字(の片方)は、書籍デジタル化プロジェクトでOCRに失敗した文字なのです。それをCAPCHAとして利用する事により、OCR出来なかった文字を人の目でデジタル化するという仕組みになっています。

 関係者それぞれのメリットを表にするとこんな感じです。

関係者 メリット
導入するサービス 無料でbot対策ができる
ユーザー botでは無い証明の時間が無駄にならず、書籍のデジタル化に貢献できる
世の中 書籍デジタル化の速度があがる

 利用サービスはBOT対策になり、ユーザーはbotではない証明のための時間が無駄にならず、書籍のデジタル化が実現する。近江商人もビックリの三方良しです。

 reCAPCHAの発明動機がまたスゴイ。

CAPTCHAの初期開発者でもある彼は、CAPTCHAを誕生させた時に、「人間の貴重なリソース、すなわち脳の思考サイクルを1回につき10秒単位で何百万時間も浪費させてしまうようなシステムをいつの間にか作ってしまった」ことに内心気付いてしまった。そこで彼はこの無駄なリソースを有用な事業に役立てることを考えた。 (reCAPTCHA - Wikipediaより)

 すばらしい。素晴らしすぎです。天才とはこのような人の事をさすのでしょう。

Duolingoって英語学習アプリでしょ?

 遠回りしましたがDuolingoに戻ります。このreCAPTCHAを発明したルイス・フォン・アン氏が2011年から取り組んでいるのがDuolingoです。日本語対応アプリが発表されたのは2014年4月ですが、サービス自体は2011年にローンチされています。

 Duolingoは「勉強している人が翻訳したテキストを、翻訳サービスで格安に提供しつつ、クリエイティブ・コモンズ文書の翻訳がされる世界を目指す」というサービスです。

 先ほどのreCAPTCHAと同じように関係者のメリットを表にすると、

関係者 メリット
翻訳依頼サービス 格安金額で翻訳を利用できる
語学学習者 無料で語学学習サービスを利用できる
世の中 クリエイティブ・コモンズ文書が翻訳されている世界がくる(かも!?)

 という形でしょうか。ただの英語学習アプリではなく壮大な装置が構築されています。

みんなで翻訳Duolingo

 Duolingoのユニークな点は「語学学習マーケットと翻訳マーケットを結びつけている」という所です。Duolingoは、語学学習者が翻訳する文章を使って安価に翻訳サービスを提供しています。翻訳サービスでマネタイズしているため語学学習者のサービス利用料は無料です。

 え、学習者の翻訳じゃ質的にダメだろう? サービスとして成り立たないだろうって? ところが立派にサービスとして成立しているのです。学習者の翻訳を単純採用してはダメでしょうが、Duolingoは複数の学習者の翻訳から良い所を組み合わせて翻訳サービスを実現しているようです。

 質の保証には「CNNのスペイン語版はDuolingoで100%翻訳されている」という事例をあげることができるでしょう。最近成長著しく各所で取り上げられているBuzzFeedも、スペイン語・ポルトガル語・フランス語は全部Duolingoによる翻訳です。

 WEB2.0時代に流行った「みんなの意見は案外正しい」を思い出しましたよ…… TEDの動画でも紹介されていますが、多くの学習者の翻訳を組み合わせると、プロの翻訳家の翻訳と大差ない翻訳を実現できるそうです。もちろんその裏には機械学習等のテクノロジーがあるのでしょうが。

効果的なデータドリブン語学学習サービス

 Duolingoは学習者の学習自体にも非常に有効です。

 どのような箇所が頻繁に間違えられやすいのか、どの文法が理解されにくいのか、どのような順番で学習すると効果的なのかをA/Bテストで実施する等、データドリブンなアプローチがサービス側で試されています。

 検証結果として、ニューヨーク市立大学(CUNY)とサウスカロライナ大学独立調査によるとDuolingoの有効性調査レポート」によると、Duolingoを34時間使った学生は、大学で言語の授業を半期受講するのと同等の学習効果が得られたとの研究結果が報告されています。

Duolingoの目指す世界

 Duolingoはクリエイティブ・コモンズの文章を全て翻訳する事を目指しているそうです。reCAPCHAといい、Duolingoといい、ルイス・フォン・アンという天才が描くスケールはとてつもなく大きいですね。

 クリエイティブ・コモンズで文章が公開されると自動的に各国の言語に翻訳される世界…… 想像するだけで目眩がします。貧富の差に限らず誰でも語学を学習できる世界。自国の言語で世界中の文書へアクセスできる世界。そんな世界がいつの日かくるのでしょうか。


 英語学習はいつも三日坊主な私ですが、壮大なプロジェクトの末端に座している事をモチベーションに、Duolingoを使った英語学習を続けてまいる所存です。いくらサービスが凄くても学習する自分がダメダメなのが悲しい問題です :(

参考リンク

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

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