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エンタープライズSaaSで儲けるには大企業を顧客にするしかない?

エンタープライズ マーケティングオートメーション プロダクト

 マーケティングオートメーションをSaaSで提供しているMarketoが儲かっていないと怒られています。Eloquaは儲かっているのに!!

  • 儲からないSaaSビジネスモデルの罠 | SEO Japan

    「企業向けのSaaSの会社を成長させるためなら、当然だ」などと考えるべきではない。言いたいことは分かる — 「販売、マーケティング、そして、初期費用の回収期間は長いものの、最終的に利益が出るはずだから、待ってくれ」と言いたいのだろう。冗談じゃない。EloquaもSaaS会社であり、同じような製品を同じ業界で販売し、同じようにSalesforce.comを統合していたものの、IPO時、7100万ドルの利益のうち、損失は500万ドルであった。60%も失っていたMarketoと比べ、たった7%の損失である。このような逆さまのビジネスモデルを、SaaSビジネスは見習うべきではない。現代のスタートアップコミュニティには、このように会社を成長させる考え方を理解した上で、逆らってもらいたい。

 「ないわー。利益率悪すぎだわー。利益率悪くても許されるフェーズはもう超えてるわー」という指摘。まぁ、Marketoからすれば「わーとるわぃっ!」という事でしょうが……

 このMarketoの低収益力にはSaaSの大きな闇が潜んでいるのではないでしょうか。SaaSが儲かるかは結局顧客企業の規模次第という闇が。

 明確なソースではなく見聞きするレベルですが、EloquaとMarketoの大きな差は顧客の企業規模ですよね。Eloquaは大企業に強くMarketoは中堅に強いというのは有名ですよね。利益率が違う最大要因はこの顧客の企業規模かと思われます。


 数年前にSaaSがもてはやされ出した頃に「SaaSは中小企業に最適」などと言われる事がありました。それから時間がたち、「SaaSは中小企業に最適」というそれは夢物語だったと言わざるを得ない状況です(そういえばJ-SaaSってどこいった?)。大きく成長したSaaS企業は「大企業への導入」を成長エンジンとして成長していきました。

 多くのSaaSは管理者ユーザー・配信メール数など、何かしらの従量課金を採用しています。そのためSaaS企業はより少ないコストでより多くのアカウントを獲得する必要があります。

 仮に10アカウント契約する企業を10社獲得するコストを3とします。では、アカウント数が10倍の100アカウント契約する企業を10社獲得するコストは30になるのでしょうか。そうはなりません。せいぜい10とかその程度です。10アカウント契約する企業を100社獲得しようとする場合はどうでしょうか?同じく10でいけますか?きっと無理です。20?いや、体制ができていないと40や50かもしれません。

 抽象的ですし明確な根拠があるわけではありませんが、エンタープライズSaaSに従事している方ならそれほど遠からずと思って頂けるのではないでしょうか。この「数ではなく高単価の方が圧倒的に獲得コストが小さい」という構図の最大要因は人です。

 エンタープライズでは、SaaSといえど人を介さずにサービスを提供することは難しいです。チャットソフトなどツール系ならいざ知らず、Marketoのような業務システムでは無人デリバリーは不可能と言ってよいでしょう。エンタープライズSaaSでは「プリセールス」から始まり「インプリ担当」まで、サービスのデリバリーには多くの人が必要です。

 人が大きな要因をしめる商売は、数で稼ぐより単価で稼ぐ方が利益率がよくなるのは自明です。SaaSであっても例外ではありません。


 この問題にMarketoはどのように立ち向かうのでしょうか。やはりビッグユーザーを狙ってEloquaと競争を繰り広げるのでしょうか?それとも別の道を模索するのでしょうか?そもそも別の道などあるのか?

 機能を絞って人がなるべく関わらずにデリバリーできるようにする? マーケティングオートメーションという提供価値を考えるとこれは厳しそうです。

 メーカーに徹してプリセールスからインプリまでをソリューションベンダーに投げる?SaaS自体の料金体系が安くパートナー企業にとっては旨味が少なそうです。セールスフォースのようにPaaS領域になっていればカスタマイズベンダーや自社製品との連携などのエコシステムが産まれるでしょうが……

 あるとすればコンサルティング企業と組んで大きなコンサル料金の中にSaaS利用料を潜り込ませるという形でしょうか。ありそうですがこれはMarketoにとって本意ですかね。

 ともかくエンタープライズSaaSは茨の道です。ハイ。ヒトゴトデハナイデスネ。

 実際に触ったことはありませんが、ホワイトペーパーを読んだり取り上げられた記事を読む限りMarketo社は素晴らしい価値を提供している企業であると勝手に思っています。日本にも進出された事を考えると、マーケティングオートメーション界を盛り上げるためにも、是非是非頑張って頂きたい所存でございます。ここからどのように利益率を上げていくのかは本当に注目しています。