レポートの動的性と静的性を考えてみる

「システムで動的なレポートがいくらでも見れるのに、なぜパワーポイントに貼り付けられたレポートというのが、世の中には跋扈しているのだろうか?おかしくないか?」そう思っていた時期が私にもありました。

この疑問は、レポートというものの本質を大きく勘違いをしています。しかしながら、意図せずに世の中に跋扈しているダメレポートの問題点を炙りだしてもいます。

静的なレポートにみる時間と能力の外部化

まずは、勘違いしている部分から見てみましょう。

システムでレポートを見ることができる環境があるのに、パワーポイントなどに貼り付けられたレポートが存在している意味がわからない。というのは、レポートが持つ「動的性」「静的性」を混同しています。

これを紐解くために、レポートの「出し手」と「受け手」を使って考えてみます。レポートには「受け手」が注文して「出し手」が作業する。という構図が発生すること多いです。アクセス解析レポートをWebコンサルタント企業がクライアントに提出したり、イベント開催レポートを代理店が主催者に提出したりと、ビジネスを行なっていれば、そこかしこでこの構図は目にしますね。

では、なぜ「受け手」はレポートを依頼するのでしょうか。

アクセス解析レポートを例にとると、「なぜ、そのようなアクセス推移になったのか?」、「そこから何がわかるのか?」、「その数字を改善するためには、なにをしなければならないのか?」という分析情報が欲しいからです。クライアント単体では、そのような分析をすることが厳しいので「能力を外部化」しているか、もしくはその分析にかかる時間を購入する目的で「時間を外部化」するためにレポートを依頼しています。

この場合、受け手が望んでいるのは「静的」なレポートです。

こう考えると、動的なレポートがあれば静的なレポートが不必要というのが、いかに的を外した意見であるというのがわかるかと思います。分析された結果の「静的」なレポートと、分析できる「動的」なレポートでは、その性質も目的も異なります。

世の中に出回っている解説レポート

ただし、ただしですよ。実際に世の中に出回っている静的なレポートは、残念ながら上記のような考察などが入っている形式になっていないことが多いのが悲しい現状ではないでしょうか。Google Analyticsが吐き出す数字をエクセルでグラフにして、解説文は「アクセスは伸びています。」なんて状況の説明文のみ。というような具合です。

いや、営業の時は「分析レポート」を提出します。って言っていたのに。。これではただの解説だよ。という状況にマーケッターの皆様なら出くわした事があるのではないでしょうか。ご自身の経験で、分析のレポートと、解説レポートのどちらを多く目にされますか?

静的なレポートの肝要は、能力と時間の外部化です。そのため、動的なレポートをコピーしただけの静的なレポートには存在価値はありません。もちろんこれは、自分が受け手の場合だけでなく、出し手になった時に意識しなければならない状況だと思います。

このようなことに対する自衛手段はあるのでしょうか。まずは、当たり前ですが、お付き合いする企業をきちんと選ぶという事ですね。機密に抵触しない範囲で他で提出しているレポートを見せてもらうのもいいでしょう。もう一つは、そもそも静的レポートが必要なのか。という事をもう一度考えなおすというものです。問題を受け手にフォーカスして考えてみるという方法ですね。「今まで同じレポートでいいよ。」といって受け取った解説レポートを見て、特にアクションをおこさないという行為が横行していると、解説レポートはいつまでたってもなくならないですよね。

できる事なら、分析レポート代金という見積もり項目になっていながら、解説だけ載っているレポートが世の中からなくなりますように。